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回転の速度:

旋回方向に2~3秒をかけてハンドルを回し切り、リカバリーは4~ 5秒かける。初めは速度の変化が難しいので、曲がるコ ーナーまでのスピードを時速5マイル、10マイル、15マイルと習熟度に合わせてスピードを上げていく。コーナーを45度以上から凡そ60 度の角度まで来た時がハンドルを戻すタイミングであり、90度のコ ーナーを曲がり切る直前まで時間をかけて戻し、直線に入った時に ハンドルを真直ぐの位置(ホームポジションと呼ぶ)に止める。

リカバリー(Recovery)のコントロール

リカバリーは円運動の終盤から直線運動の切り替えまでのコントロールをいう。一般にリカバリーが難しい理由は、曲がりに入る直前の速度とリカバリーのタイミングという相対的な判断が要求されるからである。曲がりに入る速度が速ければ速いほど、タイミングに猶予が必要であり、ドライバーは早めのリカバリーを心掛ける。ターンが遅い場合は直線に入るぎりぎりまで待ってリカバリーをする。リカバリーに入る角度は直線ラインに対し30度前後を目安とする。リカバリー終盤でハンドルをホームポジションで正確に止めることを忘れないように注意する。

●Under SteeringとOver Steering

車がターンする角度は常に90度とは限らない。左右連続の緩慢な曲がりや鋭い曲がりも想定したターンの練習をする。連続の曲がりではスピードと曲がりの緩急が相対的に影響し合い、自然の力(遠心力と重力/加速度)も加わってコントロールが難しくなる。

尚、Under Steeringはスピードの出し過ぎや遠心力に負け、曲がる方向の反対側に進行してしまうことをいい、Over Steeringは曲がる方向にハンドルを曲げ過ぎることをいう。どちらも「ふらつき」の原因となり、大変危険で、ふらついた時は急激なスピードの変化を避け、曲がりにハンドルをしっかり合わせながら、ステアリングが安定するまで徐々にスピードを落として行く。

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●ターニングの練習

アクセルとブレーキのコンビネーションとそのコントロール

速度の変化を必要とする時に使うアクセルとブレーキの微妙なコントロールを習得する。速度を落としたゆっくりな動きにはブレーキだけで、速度を若干上げる必要のある動きには「つなぎのアクセリング」を使う。また、坂道での発進やパラレルパーキングではこのアクセルとブレーキ両方の操作とそのコントロールが必要となる。

ターンでのスピードコントロール

曲がる時のスピードはあまり速すぎても遅すぎてもいけないので、そのコントロールが難しいが、コーナーの曲がりはスピーディーにという試験官の見方があるので、最終的にはそれに沿った速度として時速10マイルから15マイルを維持して曲がれるまで練習する。

ハンドル操作(Steering Control)

理想的なハンドルの操作は「無理」「むら」がないこと。直線の運転ではハンドルが固定されてブレない、曲がりでは安定した早さでハンドルを回し切るコントロールができるまで練習する。

タイミング、旋回角度とその速さのコントロール(曲がりの3要素)

曲がるとき(ハンドルを切るとき)のタイミングについては各インストラ クターの方式に従い、一例として、自車のフロントラインが交差する道路の縁石に重なって見えた時、ハンドルを回す。フロントラインが見えない目線の低い人はウィンドシールドの下側のライン を代用する。ハンドルの旋回角度は3/4回転(270度)から1回転(360度)の範囲を2~3秒掛けて回し、倍の時間(4~6秒)かけて戻し切る。このコントロールができるまで繰り返し練習する。

旋回のタイミング:

ハンドルを回すタイミングは、フロントラインが交差する道路の縁石即ち、交差する手前縁石のライン)に重なって見えた時とする。ここでは、このタイミングより早く回した場合をショートターン(Short-turn) 、遅く曲げた場合をワイドターン(Wide-turn)と教える。曲がり終わったら、アクセルを踏み、加速する。

ハンドルの回転角度:

右左折とも3/4回転(270度)~1回転(360度)の範囲。初心者は曲げすぎる(1回転以上)傾向があるので注意し、その結果ターンが シャープになり、戻し切ることが更に難しくなるので注意する。

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  • 3

    ターニング(Turning)

    ターニングでチェックされることは、一連の動きがスピーディであり、かつ安定性を欠かない動きであること。また適切なレーンポジションに車を移動して、正確なターンにつなげて行くこと。ここで正確なターンをしっかり認識し、いいタイミングでターンし、ふらつかないようにする。

  • 4

    スピード(Speed)

    曲がる時には、車が止まってしまいそうな程遅くもなく、車が遠心力で曲がれないような程速すぎることのないよう適切な速度を維持する。

  • 5

    停止(Stopping)

    停止は二つの行動がチェックされる。一つは停止位置であり、二つ目は停止の状態である。停止位置は停止線があればそこで止まり、横断歩道があればその手前のラインで止まる。そのいずれもない場合、STOPサインのポールの位置をバンパーが越えていないことを要求される。停止の状態については2~3秒間完全に停止した状態を意味し、タイヤがローリングしたままSTOP サインを通過すれば、それは交通違反であり、路上テストは失格となる。

    ※止まってはいけない場合があり、止まる には理由がなければいけない。

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  • ターニングは単純に曲がればよいというわけではなく、曲がるまでの過程の中で必要に応じて常に安全を確保する行為が含まれている。

    ※尚、ここでの採点は5つのチェックポイントは同一項目となり、5つ全部にチェックされても、1つだけチェックされても10点の減点となる。

●ターニング5つのチェックポイント

  • 1

    方向指示器(Signaling)

    Vehicle Traffic Law(VTL)上の規定では、ドライバーは交差点から100フィート(約30m)の地点で方向指示器を使い、曲がる方向を示さなければならない。しかし路上テストでは試験官から曲がる方向の指示があったらすぐ出すこと。この場合、曲がる途上で方向指示器が戻ってしまったら出し直さなければならない。

  • 2

    安全確認(Observing)

    安全確認は「安全を確保する」ための行為で、全方位に対する確認を意味し、簡単なようだが、実はドライバーにとって一番難しい。特に死角になるエリアの確認は目視によって「安全」を確保するようにしなければならない。それを怠ればそのまま危険な行動(Dangerous Action)となり、失格になる。

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9

スピード

ニューヨーク州は法定速度は時速30マイル、その他は高速道路で時速55マイルから最高65マイルである。道路標識で速度表示がない道路は、すべて法定速度に従う。また運転速度は道路の条件、環境、視界の変化などに対応して適した速度で走ることが義務づけられている。随時、速度調節に呼応してスピ ードメーターにも注視すること。

また、危険を避けるためには前の車と一定の距離を保ち、悪天候、悪状況の時は通常より距離をおいて走るよう心がける。

10

停車

交差点にSTOPサインがあったり、見通しが悪い場合は横切る前に停車する。見えるところまでゆっくりと前へ進み、安全が確認されたら前に進む。

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●ハンドルの練習と実際

滑らかなハンドルの握り方については、インストラクターの手本を見る。Over handを原則として、両手、両腕が交差した時の滑らかな動き、Over handと送りハンドルの違いと操作性の善し悪しを理解する。練習はエンジンをかけたまま、車を停止状態で行う。

上記の要領で、ハンドルのホームポジションから右に1転半を
一気に回し切る。

同じくハンドルのホームポジションから左に1転半を
一気に回し切る。

ハンドルの左ポジションから右ポジションまで3回転を
一気に回し切る。

ハンドルのホームポジションから右3/4回転を2~3秒で
回し切る。リカバリーについては4~5秒で戻し切る。

ハンドルのホームポジションから左3/4回転を2~3秒で
回し切る。リカバリーについては4~5秒で戻し切る。

※動きが安定するまでは各ステップを数回行うこと

Note: 「ふらつき」

「ふらつき」とは右左折の時や、路肩に寄せたり(Pull over)道路に進入したり (Pull out)する時、曲がり終って縁石やセンターラインに平行な直線運動の切り替えがうまく出来ない動きをいう。

「順手と逆手」とは、ハンドルを外側から握る手使いを順手といい、右手か左手 のどちらかがハンドルを内側から握る手使いを逆手という。逆手は早いハンドル の操作や、一回転以上のハンドル操作に不向き。逆手は路上テストの場合、順手でハンドル操作するよう試験官から注意を受けることが多いので避ける。

※「ハンドルのホームポジション」とは、タイヤが真直ぐの方向になっている場合のハンドルの位置をいう。

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  • 8

    ハンドルの滑らかな回転操作

    ハンドルの滑らかな回転も初心者にとって意外に難しい。ハンドル操作の原則はゆっくりかつ定速度で目的の旋回ポイントまで 回し切ること。

    途中でハンドルが止まってしまったり、旋回速度が一定でないのは、ターン(曲がり)が「ふらつく」原因になる。ハンドルの握りの位置については原則ハンドルの上部分の部分を順手で力まず握るよう理解する。

●真っすぐの運転(速度の認識、視点の取り方と平衡感覚の養成)

真っすぐに走行する技術も練習の初期にしっかりと習得することが肝心である。インストラクターの手本を見て、真っすぐに走っているとハンドルは止まっているというところ、また、ハンドルは順手でややハンドルの上方を力まず握っている点に注目する。自分の車が5~6秒先に到達するはずの地点を見据えるよう に、視点は2ブロックから3ブロック先に置いておくことが重要なポイント。足回り構造上からも車は真直ぐ走るようになっているので、その性質を利用できるようハンドルは力を入れて握らない。

29

  • 7

    ギア操作

    ギア操作は初心者を含め、熟練者でもおかしやすいミスの1つである。ギア操作の課題、技術的な難しさはあまりないが、的確なタイミングで正しい位置にギア操作をできるようにさせる。操作上のミスは路上テストでしばしば見られ、失格になることが多いので注意が必要である。ギア操作はパラレルパーキング(縦列駐車)、3ポイントターンの項目で後述する。